in Manila
脚を、蛙のように広げたまま
窓の外に視線を移す。
そこにはどこまでも青い空が広がっていた。
ホテルが面している大通りは昨日到着したときと同じように車と人で混雑しているのだろう。
しかし超高層階に位置するこの部屋にそんな喧騒は届かない。
貴方の下敷きとなっている私の上半身に生えた腕は呼吸に合わせて貴方の背中をさする。
その腕はいつも、さするべきなのか、たたくべきなのか、それともただ放り出されておくべきなのかと迷う。
そしていつも、さすることを選ぶ。
マニラという都市は一年を通して暑いという。
きっと、ホテルの部屋は一年を通してクーラーが効いているのだろう。
触れ合った肌は汗ばむこともなく、交換し合った互いのぬくもりはいつの間にかひとつの熱の帯となり、下半身へ流れ集まり、どこかへ消えていった。
右肩に貴方の頭蓋が乗っているから
私の頭は左へ傾ぐ。
この時間をどのようして区切るべきだろうか。
眠りに落ちようか、
貴方を除けようか、
否、このまま永遠へと引き伸ばしてしまおうとただ空を見つめる。