un parfait
ねえ、最後に会ってから1年以上経つ友人の前といってもね、私はパフェを食べているの。
1ヶ月前に、1年半付き合って結婚を考えていた男性と別れたといってもね、
それから1週間としないうちに新たに恋人ができたといってもね、
私はパフェを食べているの。
甘くて、甘くて、甘くて――
グラスの中でアイスが溶けてしまうのも構わずスプーンを置いて
オリジナルブレンドの紅茶を口に含む。
コーヒーにすればよかったとすこし後悔。
1回目。
桃のカットがまだてっぺんを覆っているからスプーンをグラスの下に敷かれたレースへ迷わず置く。
2回目。
溶けはじめたアイスと刻まれた桃、それからジェリーが混ざり合い、それはちょうどスプーンの先が埋もれる程の嵩。金属を漬け込むようでためらわれるけれど、スープをいただくときのマナーに倣えば、グラスの中に立てかけるべきか。内側に、どろりとクリームのついたグラスへ柄を立てかける。
3回目。
最後の一口が惜しくて液体と化したアイスを見つめながらスプーンを置く。白というよりも黄色、黄色というよりも白いそれは、グラスの底から強烈な芳香を放っていた。
ねえ、
甘いものの合間に辛いものが食べたくなってしまうほどに、私は大人になってしまったの?
いつまでも甘さに溺れていられないほどに、私は正気になってしまったの?
その繊細な幸福はもう思い出せない。
甘かった、それだけ。
甘いって美味しいってことだったか、それさえも思い出せない。